メモリ診断ツールMemtest86+の実施方法を紹介します。Memtest86+は、メモリ関連のエラーによりPCが起動しない時やブルースクリーンが発生する時などに、メモリの故障有無を調べることができます。メモリの差し替えや増設、PCトラブルがなければ使う機会は少ないと思いますが、実施方法を把握しておくと、いざという時安心です。
・操作環境:
・OS:Windows11(Home Edition/デバイス暗号化有)
・Webブラウザー:Edge
- USBメモリにMemtest86+のモジュールを導入する
- デバイス暗号化有の場合:念のためBitLocker回復キーを確認する
- デバイス暗号化有の場合:UEFI画面でSecureBootを無効化する
- BootManager画面でUSBから起動する
- Memtest86+を実行する、終了する
- おわりに
USBメモリにMemtest86+のモジュールを導入する
Webブラウザーから以下サイトにアクセスし、画面下部の[Windows USB Installer(32/64bits)]の[→]を選択します。
※Memtest86+公式サイト:
Memtest86+ | The Open-Source Memory Testing Tool
確認メッセージが表示される場合は、ファイルを保存する選択を行います(画面はEdgeの例です)。
PCにUSBメモリを接続します。ダウンロードしたモジュールをダブルクリックしてインストールを開始します。
USBメモリへにMemtest86+のモジュールが導入されました。
デバイス暗号化有の場合:念のためBitLocker回復キーを確認する
Memtest86+を実施するPCでデバイスが暗号化されている場合([設定]の[プライバシーとセキュリティ>デバイスの暗号化]で確認)、次の工程でSecureBootを無効化する必要があり、PC起動時にBitLocker回復キーの入力を求められるかもしれません。念のため値を確認しておきます。
方法1) MicrosoftアカウントでPCにサインインしている場合は、Microsoftアカウント画面の[デバイス]メニューの[詳細を見る]から[回復キーの管理]にアクセスすると、対象PCのBitLocker回復キー(数値48桁)を確認できます。この値をスマホのスクショやメモなどで控えておきます。
※Microsoftアカウントの[回復キーの管理]のURL:Sign in to your account
※Active DirectoryやMicrosoft Entra IDにドメイン参加しているPCの場合は、それらの管理画面(おそらく組織のシステム管理者のみアクセスできる画面だと思いますが)で対象デバイスのBitLocker回復キーを確認することもできます。
方法2) [コントロールパネル]の[デバイスの暗号化]メニューからも確認できます。
なお、メニューが表示されない場合は、右上の[表示方法]を[小さいアイコン]か[大きいアイコン]に切り替えます。
方法2の続き) [回復キーのバックアップ]を選択します。
方法2の続き) バックアップ方法を適宜選択します。
なお、[ファイルを保存する]を選択した場合、保存先にこのPCを指定することはできません。
※この値はPCが起動できない状態でも確認できるようにしておくべきものです。どれを選べば良いか判断がつかない場合は、印刷して保管するのがよいでしょう。
次の工程の作業中にBitLocker回復キーの入力を求められた場合、先ほど控えた数値48桁を入力してください。
デバイス暗号化有の場合:UEFI画面でSecureBootを無効化する
UEFI画面を起動するため、Windowsメニューから[設定]を選択し、[システム>回復]の[今すぐ再起動]を選択します。
※PC起動直後の画面で[F2]キー等(PCの機種によって使用するキーが異なる場合があるため、動作しない場合はPCのマニュアルをご確認ください)を押すことで、UEFI画面を表示することもできます。
[オプションの選択]画面で[トラブルシューティング]を選択し、[トラブルシューティング]画面で[詳細オプション]を選択します。
[詳細オプション]画面で[UEFIファームウェアの設定]を選択します。
[UEFIファームウェアの設定]画面で[再起動]を選択します。PCが再起動され、UEFI画面に遷移します。
SecureBootの設定は[Security]メニューの下にあることが多いです。
※PCの機種によってメニュー名が異なる場合がありますので、見つからない場合はPCのマニュアルをご確認ください。
[SecureBoot]の値を[Enabled]から[Disabled]に変更します。
設定を保存してUEFI画面を終了します(このPCの場合は[F10]キーを押します)。
BootManager画面でUSBから起動する
PC起動直後の画面で[F12]キー等を押してBootManager画面を開き、接続しているUSBメモリを選択します。
※PCの機種によっては、前の工程の手順に示したUEFI画面を再度表示し、その中の[Boot]メニューに設定があるかもしれません。Boot関連のメニューが見つからない場合はPCのマニュアルをご確認ください。
Memtest86+を実行する、終了する
USBメモリによるPC起動が行われ、Memtest86+によるチェックが始まります。
PC環境にもよりますが、一回のチェックに20分程度かかります。[ESC]キーを押すまでチェックは繰り返されます。右上のPassが3回程度、かつErrorsが0件であれば故障なしと判断して良いでしょう。
ちなみに、メモリ関連のブルースクリーンエラーが多発し、後日メモリメーカーからメモリ故障と判断されたPCでMemtest86+を実施したところ、Errorsがすぐに1万件を超えました。
[ESC]キーを押すと、チェックが終了し、PCが通常通り起動します。
最後に、工程3でSecureBootの無効化を行った場合、再度UEFI画面を起動してこの設定を元に戻しておきます。
おわりに
メモリ故障が疑わしく、メモリメーカーに問い合わせる際、Memtest86+の実施結果も伝えると、メーカーの故障判断が早く済むかもしれません。本記事が参考になれば幸いです。