
法人向けMicrosoft 365のコンプライアンス管理サービス「Microsoft Purview」の一機能である情報保護について、簡単な設定例を紹介します。
これにより、ファイルやメールに秘密度ラベルを付加し、それに応じたポリシーを適用することで、データを保護し、データ流出防止に繋げることができます。
- 操作環境:
- OS:Windows 11
- Webブラウザー:Edge
- 使用プラン:Microsoft 365 Business Premium(試用版)
ファイルへの秘密度設定、PDF化
ファイルへの秘密度設定
公開、社外秘、厳秘ラベルを設定したWordファイルを作成します。
まずは公開ラベルを設定する場合です。
ファイルは既定で社外秘ラベルが設定されていますので、これを変更します。前の記事の設定により、秘密度を下げる場合は、理由の報告を求められるようになっています。

次は社外秘ラベルを設定する場合です。
社外秘ラベルは既定で選択済のため、選択しなおすアクションは不要です。ファイルを保存すれば自動的に社外秘ラベルが付与されます。

最後は厳秘ラベルを設定する場合です。
ファイルは既定で社外秘ラベルが設定されていますので、これを変更します。前の記事の設定により、厳秘の場合はユーザーがアクセス権を設定する形になります。この例では、組織内のすべてのユーザーが変更できる設定にしています。

アクセス権の設定を行うと、[アクセス制限あり]の注記が表示されるようになります。

秘密度設定済ファイルのPDF化
秘密度ラベルを設定したファイルをPDF化すると、元のファイルの秘密度ラベルが継承されます。分かりやすい例として、アクセス制御(暗号化)の施された厳秘のファイルをPDF化して確認します。
PDF化したファイルをAdobeReaderで開こうとすると、Purview情報保護の認証を求められます。

認証が通り、ファイルが開かれると、画面上部のファイル名の右に「(保護)」と記載されており、暗号化されていることがわかります。
なお、アクセス制御(暗号化)の施されていないファイル(今回の例では社外秘と公開のファイル)は認証要求も「(保護)」の記載も行われません。

暗号化共有ファイルへのアクセス、メール受信
暗号化共有ファイルへのアクセス
暗号化されたファイル(この例では厳秘のファイル)をSharePointにアップロードし、アクセス権のあるメンバーと、アクセス権のないメンバーとで挙動確認してみます。
まずはアクセス権のあるメンバーにてWebブラウザー経由でアクセスしてみます。問題なく開けました。

同じアクセス権のあるメンバーにてデスクトップアプリ経由でアクセスしてみます。こちらも問題なく開けました。

今度はアクセス権のないメンバーにてWebブラウザー経由でアクセスしてみます。Webブラウザーに権限がない旨のメッセージが表示され、ファイルを開けませんでした。

同じアクセス権のないメンバーにてデスクトップアプリ経由でアクセスしてみます。 権限がない旨のメッセージが表示され、ファイルを開けませんでした。

さらに、厳秘のファイルをPDF化したものをSharePointにアップロードし、同じアクセス権のないメンバーでアクセスしてみます。これも開くことはできません。

暗号化ファイル付きメール受信
暗号化されたファイル(この例では厳秘のファイル)をメールにてアクセス権のあるメンバーと、アクセス権のないメンバーに送信し、受信確認してみます。
まずはアクセス権のあるメンバーにてメールに添付された厳秘ファイルにアクセスしてみます。WordもPDFも問題なく開けました。

今度はアクセス権のないメンバーにてメールに添付された厳秘ファイルにアクセスしてみます。Wordファイルは直接開くことはできず、ダウンロードしたファイルを開こうとするとアクセス許可が必要とのメッセージが表示されました。

PDFファイルについては、PDFビューアを使用するかアクセス許可を付与とのメッセージが表示されました。
PDFファイルを一旦ダウンロードしてAdobeReaderで開こうとしても、このメッセージが表示されます。
Wordファイルと同様、アクセス権がないので開くことはできません。

情報保護アクティビティログ確認
情報保護機能の使用状況は[アクティビティエクスプローラー]で確認できます。アクティビティログの検索結果一覧から行選択すると、詳細情報を確認できます。

暗号化ファイルの共同編集(参考)
暗号化ファイルを共同編集できるようにするには、左メニューの[設定]を選択し、サブメニューの[ソリューションの設定>情報保護]を選択し、[秘密度ラベルのあるファイルの共同編集を有効にします]を選択状態にします。
ただし、解除はPowerShellからの実施になることと、解除時の影響について注記がありますので、内容を理解した上で実施することをお奨めします。

おわりに(運用設計が難しい)
この記事ではシンプルな要件で設定を紹介したため、簡単そうな印象をお持ちになる方がいらっしゃるかもしれません。しかし、特にアクセス制御(暗号化)については、運用をよく考えてから適用した方が良いです。
この記事ではメンバーがアクセス制御(暗号化)を指定できる設定にしましたが、ある程度ルールがないと誰がどのファイルにどのような設定をしたのか、だんだん煩雑になってしまいます。特にメンバーの入れ替えの多い組織においてはそうなりやすいです。
秘密度ラベルを細かく設定して自動ラベル付けを活用すると、この課題に対応でき、メンバーの作業負荷軽減にも繋がります。しかし、意図しない自動ラベル付けにより、暗号化されたファイルを取引先に送付・共有してしまい、先方に迷惑をかけるといった心配もあります。
ラベル発行先を機密情報を扱うメンバーに限定し(少なくとも最初は)、運用するのも良いです。
ここまでこの機能を紹介しておきながら、私自身、ベストプラクティスが分からないのが正直なところです。この機能を使いこなしている組織において、どのような設定で運用しているのか気になります。
当ブログ内の連載記事