
- メール・カレンダーの移行:Exchange Online⇒Gmail, Google Calendar(第1,2回)
- ドライブの移行:OneDrive, SharePoint Online⇒Google Drive(マイドライブ,共有ドライブ)(第2,3回)
- チャットの移行:Teams⇒Google Chat(第3回)
- 操作環境:
- OS:Windows 11
- Webブラウザー:Chrome
- 使用プラン:Microsoft 365 Business Standard、Google Workspace Business Starter
メール・カレンダー MXレコード等の切替、移行終了
メール・カレンダーのデータを移行し終わったら(移行データが多い場合は切替前の差分移行も実行)、MXレコード等の切替を行います。
これによりメールの送受信がExchange OnlineからGoogle Workspaceに切替わります。
Google管理コンソールの左メニュー[アカウント>ドメイン>ドメインの管理]にて、対象ドメインの[Gmailを有効にする]を選択します。

[MXレコードを設定]を選択し、[次へ]を選択します。
[続行]を選択します。
対象ユーザーを確認し、[有効化を進める]を選択します。

ドメインホストを選択し(この例ではお名前.comの提供会社であるGMO Internet)、[続行]を選択します。
設定すべきMXレコードが表示されたら、[ドメインホストに移動]を選択します。

ドメインホスト(この例ではお名前.com)の管理画面にログインし、対象ドメインのDNSレコードの設定画面を開き、以下の通り変更します。
- CNAME:無効にする
- MX:図表5-3の設定に変更する
- VALUE:smtp.google.com.
- 優先:1
- TXT(spf):v=spf1 include:_spf.google.com ~all
*TXT(spf)は無効にしてもGmailの送信はできますが、受信側でスパム判定されるリスクが高くなるため、この例のようにGmail用の設定に変更した方が良いです

DNSレコードの編集が完了したら、確定させます。

Google管理コンソールの画面に戻り、[ドメインホストのコードを更新したら、このページに戻って確認してください]のチェックをつけ、[確認]を選択します。
[設定が完了しました]と表示されたら、[完了]を選択します。
また、図表5-3から5のドメインホストの設定画面もログアウトして閉じて問題ありません。

時間が経てばメールの送受信がExchange OnlineからGoogle Workspaceに切り替わりますが、念のためExchange Onlineからメールを送信できないようにしておきます。
Exchange管理センターの左メニュー[メールフロー>承認済みドメイン]を選択し、対象ドメインを選択します。
右側にポップアップ表示された設定画面で、[このドメインからのメール送信を許可する]のチェックを外し、[保存]を選択します。

念のため対象ドメインを使用したExchange Onlineでのメール送受信の設定も無効化しておきます。
Microsoft 365管理センターの左メニュー[設定>ドメイン]を選択し、対象ドメインを選択します。
[DNSレコード]タブを選択し、[DNSの管理]を選択します。

[ExchangeとExchange Online Protection]のチェックを外し、[続行]へ進み、変更を確定させます。

以下が確認できれば、切替は正常にできています。
- 外部アドレスからのメールをGmailで受信できること
- 外部アドレスからのメールをExchange(Outlook)で受信できないこと
- Gmailで外部アドレスへメールを送信できること、そのメールを外部アドレスで受信できること
- Exchange(Outlook)で外部アドレスへメールを送信できないこと(送信エラーが返ってくる)
MXレコード等の切替が完了したら、Google管理コンソールの移行サービスにて最後の差分移行を行います。
最後の差分移行の結果で問題がなければ、[移行を終了する]を選択し、移行を終了します。
これにより、Exchange Onlineからの移行サービスにおける差分の認識がクリアされます。

リソースの移行について(参考)
前の記事の図表4-3には「適切なマッピングが指定されている場合は移行します。」と記載されていますが、前の記事の図表4-6の通りGoogleのカレンダー上のリソースとして正しく認識されませんでした。
参考まで試したマッピングの設定について紹介します。
まずは移行元と同じアドレスを移行先のアドレスに入力して移行を試しましたが、全件エラーとなりました。

前の記事の図表2-12の通り、リソースのメールアドレスはリソース名とは関係ない値が自動的に割り当てられます。
次はこの自動的に割り当てられたメールアドレスを移行先にマッピングしてみます。
「一致する結果が見つかりません」とポップアップ表示され、このマッピング画面上は認識してくれないようです。

リソースメールアドレスをマッピングした状態で移行を実行したところ、何件か成功してはいるものの、カレンダーの画面上、Googleのリソースとして認識されませんでした。

検証した限りでは移行できなかったため、前の記事の図表4-7の通り、移行後にGoogleのリソースを再選択する必要がありそうです。
OneDriveファイル 移行実施
図表7-1はOneDriveファイルの移行に関する要件と操作手順です。
Google Workspaceの要件に関する具体的な作業は前の記事の工程2を参考にしてください。

要件を満たせたら、以下のような段取りで進めるのが良いでしょう。
- 一部ユーザー分(移行作業者等)のデータ移行、動作確認
- 動作確認結果を踏まえた各ユーザーへの周知準備
*移行されないもの、変更が生じるもの、ユーザーの方で対応が必要なものなどを明確に示すと良いでしょう
- 各ユーザーへの周知発出
- 残りユーザー分のデータ移行
- 移行サービス終了前の差分移行(必ず実施)
- 移行サービスの終了
移行後にOneDriveでのファイル更新を抑制したい場合、Microsoft 365のプランによってはOneDriveを閲覧専用にすることが難しいため、誤ってOneDriveのファイルを更新しないようユーザーへの周知が必要です。
OneDriveとGoogle Driveを併用する場合はこの限りではありません。
Google管理コンソールの左メニューの[データ>データのインポートとエクスポート>データ移行 (新規)]を選択し、[OneDrive]を展開し、[移行]を選択します。

手順1の[Microsoft OneDriveに接続]を選択します。

Microsoft 365の管理者アカウントでサインインし、Googleからのアクセス許可を承諾します。
[接続しました]と表示されれば接続成功です。

手順2の[サンプルのCSVファイルをダウンロード]を選択し、ダウンロードしたファイルを開き、移行元ユーザーのメールアドレスを入力して保存します。

[CSVファイルをアップロード]を選択し、保存したCSVファイルを指定します。

手順3の[サンプルのCSVファイルをダウンロード]を選択し、ダウンロードしたファイルを開き、移行元/先ユーザーのメールアドレスを入力して保存します。

[CSVファイルをアップロード]を選択し、保存したCSVファイルを指定します。

手順4では、移行対象を細かく指定したい場合に設定を調整します。調整したい項目がなければそのままで構いません。

設定が完了したら、[移行を開始]を選択します。
なお、移行は時間がかかりますが、完了までこの画面を開いておく必要はありません。図表7-2のメニューから再びこの画面にアクセスすれば、進捗状況を確認できますし、完了時に管理者宛にメール通知も行われます。

[移行ステータス レポート]の右に[完了]と記載されていれば、移行は完了しています。
特に失敗や警告が発生している場合は、[移行レポートをエクスポート]と[ユーザーレポートをエクスポート]をそれぞれ選択し、ダウンロードして内容を確認します。
なお、[スキップ済み]は差分移行実行時に、それ以前に移行済のデータを重複して移行しないようスキップしたときにカウントされます。

レポートがエクスポートされたら、失敗や警告の詳細を確認します。
Source URIとTarget URIで移行元/先の対象を特定できます。
失敗の可能性が高いのは、移行実行中のデータ編集です。図表7-11で[差分移行を実行]より差分移行を行うと、解決することがあります。

OneDriveファイル 移行後確認、移行終了
公式記事に移行されるもの・されないものが明記されています。特に注意が必要な点を補足します。
- 外部ユーザーが作成したファイル・フォルダー:移行されない
- バージョン履歴:移行されない
- Vaultのファイル:移行されない

また、今回使用ライセンスの都合で検証していませんが、 Microsoft Purviewの秘密度ラベル(紹介記事)を使用するなどして暗号化したファイルは、Google Drive側では復号化できずアクセスできないかもしれません。ファイルの暗号化を使用している場合、本格移行する前に移行後のファイルへのアクセス可否を確認することをお奨めします。
画面イメージはOneDriveファイルの移行元/先の比較結果です。
移行先は「マイドライブ」になります。

「External_Shared」フォルダーの権限を比較したところ、問題なく引き継がれていました。

OneDriveに外部共有しているフォルダーやファイルがあると、移行実行時に外部ユーザーに招待メールが自動で届くようです。
移行実行前に組織内メンバーにその旨を周知し、メンバーから外部ユーザーに伝えてもらうと良いでしょう。
招待メール内のリンクをクリックすると、移行後のGoogle Drive内の共有資源にアクセスできました。

図表8-3の権限比較の別の例として、OneDriveのフォルダーで外部ユーザをダウンロード不可とした場合の移行後確認を行いました。
Google Drive上は閲覧者になっており、実際にこのフォルダー内のファイルをダウンロードできてしまいました。
フォルダーの共有メニューの歯車アイコンから詳細設定を確認すると、ダウンロード不可の設定がありません。
一方、このフォルダー内のファイルの詳細設定にはダウンロード不可の設定がありました。
OneDriveのフォルダーに対しダウンロード不可の権限設定を行っている場合、移行後のGoogle Driveのフォルダー内の各ファイルに対しこの設定を更新する必要がありそうです。

移行後確認が完了したら、Google管理コンソールの移行サービスにて最後の差分移行を行います。
最後の差分移行の結果で問題がなければ、[移行を終了する]を選択し、移行を終了します。
これにより、OneDriveからの移行サービスにおける差分の認識がクリアされます。

次の記事に続きます。
当ブログ内の連載記事
当ブログ内の関連記事