
- メール・カレンダーの移行:Exchange Online⇒Gmail, Google Calendar(第1,2回)
- ドライブの移行:OneDrive, SharePoint Online⇒Google Drive(マイドライブ,共有ドライブ)(第2,3回)
- チャットの移行:Teams⇒Google Chat(第3回)
- 操作環境:
- OS:Windows 11
- Webブラウザー:Chrome
- 使用プラン:Microsoft 365 Business Standard、Google Workspace Business Starter
Googleデータ移行サービスの機能
Google Workspaceには、Microsoft 365等の他のシステムから組織のデータを簡単に移行できるサービスがあります。
この記事ではこれを使って法人向けMicrosoft 365からのデータ移行を検証しました。
なお、データ移行はメール・カレンダーだけ実施し、他はMicrosoft 365を継続利用するといったように、図表1-1の表の行毎で実施できます。

メール・カレンダー 移行準備
図表2-1はExchange Onlineからの移行要件です。
移行を実施する前に、これらの要件を満たしておく必要があります。
なお、メール・カレンダーを移行せず、ドライブやチャットを移行したい場合も、ドメイン所有権証明、ユーザー作成、サービス有効化(Google DriveやGoogle Chat)は必要です。

図表2-1の移行要件には記載がありませんが、Googleのメール・カレンダーの運用を円滑に開始するため、グループ(メーリングリスト)やカレンダーのリソース(会議室や共用備品)もこの段階で作成しておきます。これらについては工程4-1,4-2でも触れます。
ドメイン所有権の証明
Google管理コンソールの左メニュー[アカウント>ドメイン>ドメインの管理]にて、移行元システム(Microsoft 365)と同じドメインが「確認済み」になっていれば問題ありません。
以前の記事でドメイン所有権の証明の手順(試用版によるテナント作成を含む)を紹介していますので、未実施の場合は参考にしてください。

ユーザー作成・ライセンス付与
Google管理コンソールの左メニュー[ディレクトリ>ユーザー]を選択し、[新しいユーザーの追加]を選択し、移行対象のユーザーを作成します。
その際、メールアドレスを忘れずに設定します。

同じ[ユーザー]画面で対象のユーザーにチェックをつけ、[ライセンスを割り当て]を選択し、必要なライセンスを割り当てます。
ライセンスが足りない場合は、左メニューの[お支払い>サブスクリプション]より購入した後、割り当てを行います。

サービス有効化
Google管理コンソールの左メニュー[アプリ>Google Workspace>サービスのステータス]を選択し、[Gmail]と[カレンダー]のステータスがオンになっていることを確認します(なっていない場合はオンにします)。

グループ作成
Exchange管理センターの左メニューの[受信者>グループ]を選択し、[Microsoft365]から[メールが有効なセキュリティ]までの各設定内において、メールを使用しているグループと受信メンバーを洗い出しておきます。

Google管理コンソールの左メニューの[ディレクトリ>グループ]を選択し、[グループを作成]から、図表2-6で洗い出したメールを使用しているグループを作成し、受信メンバーを設定します。

グループメールのアクセス設定(外部とのやりとり)について補足します。
- 外部アドレスからのメール受信を許可したい場合:[アクセス設定]の[投稿できるユーザー]の[外部]にチェックをつけます。
- 受信メンバーに外部アドレスを含めたい場合:[組織外のメンバーの許可]をオンにします。

リソース作成
Exchange管理センターの左メニューの[受信者>リソース]を選択し、リソース名や定員などの基本情報を洗い出しておきます。

Google管理コンソールの左メニューの[ディレクトリ>ビルディングとリソース>リソースの管理]を選択し、[ビルディングを追加]からビルディングを登録します。

同じ[リソースの管理]画面で[+]アイコンを選択します。

リソースの名前、カテゴリ、ビルディング、階、収容人数などを設定します。
なお、リソース登録後、リソースメールの値が表示されますが、Exchange Onlineとは別のアドレスになるようです。参考まで次の記事の工程6で紹介しますが、移行時にこの値をマッピングしても、Googleのリソースとして認識されませんでした。

メール・カレンダー 移行実行
図表3-1は移行サービスによるメール・カレンダーの移行に関する実行・完了手順です。

新旧システムの並行稼働がないシンプルな移行であれば、メール送受信の切替を含めて、以下のような段取りで進めるのが良いでしょう。
- 一部ユーザー分(移行作業者等)のデータ移行、動作確認
- 動作確認結果を踏まえた各ユーザーへの周知準備
*移行されないもの、変更が生じるもの、ユーザーの方で対応が必要なものなどを明確に示すと良いでしょう
- 各ユーザーへの周知発出
- 残りユーザー分のデータ移行
- MXレコード等の切替前の差分移行(移行データが多い場合)
- MXレコード等の切替 ⇒ 新システムに切り替わる
- 移行サービス終了前の差分移行(必ず実施)
- 移行サービスの終了
Google管理コンソールの左メニューの[データ>データのインポートとエクスポート>データ移行 (新規)]を選択し、[Exchange Online]を展開し、[移行]を選択します。

ステップ1の[交流]を選択します。

Microsoft 365の管理者アカウントでサインインし、Googleからのアクセス許可を承諾します。
[Connected]と表示されれば接続成功です。

ステップ2では、ユーザー数が20名以下の場合、右下の画面イメージのような設定画面が表示されます。移行対象のユーザーが正しくマッピングされていることを確認した上でチェックをつけ、[変更の保存]を選択します。
ユーザー数が20を超える場合は、CSVファイルを用意してアップロードする形となります。

ステップ3では、移行対象を細かく指定したい場合に設定を調整します。調整したい項目がなければそのままで構いません。

設定が完了したら、[移行を開始]を選択します。
なお、移行は時間がかかりますが、完了までこの画面を開いておく必要はありません。図表3-1のメニューから再びこの画面にアクセスすれば、進捗状況を確認できますし、完了時に管理者宛にメール通知も行われます。

[移行ステータス レポート]の右に[完了]と記載されていれば、移行は完了しています。
特に失敗や警告が発生している場合は、[移行レポートをエクスポート]と[ユーザーレポートをエクスポート]をそれぞれ選択し、ダウンロードして内容を確認します。
なお、[スキップ済み]は差分移行実行時に、それ以前に移行済のデータを重複して移行しないようスキップしたときにカウントされます。

レポートがエクスポートされたら、失敗や警告の詳細を確認します。
この例では、Google側のライセンスを付与していないユーザーのデータ移行に失敗していました。
失敗の可能性が高いのは、移行実行中のデータ編集です。図表3-8で[差分移行を実行]より差分移行を行うと、解決することがあります。

メール・カレンダー 移行後確認
メール
公式記事に移行されるもの・されないものが明記されています。特に注意が必要な点を列挙します。
- 共有メールボックス:Googleのグループに移行できない
*Exchange Online側でメンバーのメールボックスにメッセージをコピーする設定を行っていれば、メンバーのメールボックス内のメッセージとして移行されます。設定を行っていない場合は、共有メールボックスのメッセージをPSTファイルとしてエクスポートし、メンバーのメールボックスにインポートした後、移行を行うなどの対応が必要です
- メールボックスのアクセス権設定:移行後に実施する
- 移行されないメール:50MB超のメール、[メモ]フォルダーや[アーカイブ]フォルダー内のメール

また、今回使用ライセンスの都合で検証していませんが、 Microsoft Purviewの秘密度ラベル(紹介記事)を使用するなどして本文や添付ファイルを暗号化したメールは、Gmail側では復号化できずアクセスできないかもしれません。メール本文や添付ファイルの暗号化を実施している場合は、本格移行する前に確認することをお奨めします。
図表4-2はメールの移行元/先の比較結果です。
フォルダーや既読/未読等は移行されていました。
- Outlookの受信トレイ内のメッセージは、直接Gmailの受信トレイに入るわけではなく、ラベル[受信トレイ_]内のメッセージとして表示される。
- Gmail側に重要マーク(黄色の矢印)のついているメッセージが一部あるが、おそらくOutlook側では重要ラベルが廃止されたためか、これが確認できない
- Outlook側のメモやアーカイブ等のフォルダーは移行されない

カレンダー
公式記事に移行されるもの・されないものが明記されています。特に注意が必要な点を補足します。
- リソース:公式記事上は移行できそうだが、試した限りではできなかった(次の記事の工程6で紹介)。移行後、再選択する
- 共有カレンダー:移行後、所有者からメンバーに再共有する
- 予定の添付ファイル:移行されないので必要なファイルは各自で移行する

また、今回使用ライセンスの都合で検証していませんが、本格移行する前に、非公開予定の見え方を確認することをお奨めします。公式記事に特筆されていないため、おそらく非公開予定のメンバーのみ参照できる状態で移行されると推測します。
Exchange Onlineの予定表のアクセス制御については、以前の記事で紹介していますので、よろしければ参考にしてください。
画面イメージはカレンダーの移行元/先の比較結果です。
繰り返しの予定を含め、ユーザーの移行されていました。
なお、リソースの予定は移行していないため、移行先には表示されません。
また、他の人や他の予定表の選択状況は移行されませんので、移行先で必要なものを設定する必要があります。
この後、予定の内容を比較確認してみます。

図表4-5はTeams会議予定の移行元/先の比較結果です。
外部のメンバーを含めた各メンバーやTeamsのリンクは移行されていました。

図表4-6はリソース(会議室等)選択つき予定の移行元/先の比較結果です。
リソースはメンバーとしては移行されていますが、Googleのカレンダー上の会議室としては選択されていません。この予定の登録者に選択し直してもらう必要があります。

Googleのカレンダー上の会議室として選択すると、リソースのカレンダー上も表示されるようになります。

連絡先
細かい説明は割愛しますが、連絡先のデータも移行されます。

次の記事に続きます。
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