これまでオフィスのIT環境を整備してきた私の経験を元に、オフィスの事務作業向けにおススメする外部モニターの構成を紹介します。特定の機種を評価・紹介するというよりは、おススメの構成・機能要件と選定時の注意点を挙げています。
ノートPC利用なら、ノートPCの画面+21~23インチのモニター2台位がバランス良し
オフィスや自宅でノートPCを利用する際、外部モニターを接続して拡張ディスプレイで使用するのが一般的になっていると思います。通常の事務作業でしたら、ノートPCの画面+21~23インチの外部モニター2台位の構成がバランスが良くておススメです。
より大型のモニターを導入してモニター内で画面分割する形でも、複数の外部モニターと同じことを実現できますが、大型のモニターは設置や移設が大変で、移設の可能性のあるオフィス利用にはどうかなと思います。また、画面数が多すぎても視線があちこち動いて目が疲れてしまうため、ノートPCの画面を含めて3画面位までに抑えると良いでしょう。
機器構成としては、これまではドッキングステーション(以降ドックと表記します)を導入して複数モニターと接続するのが一般的でした。
しかし、最近のノートPCはUSB-C(映像出力)ポートを備えているものが多くなっていますので、USB-C(映像出力)ポートつきの外部モニターを導入して、これとノートPCをUSB-Cケーブルで接続することにより、ドックがなくてもノートPCへの給電や有線LAN接続等を実現できるようになります。
ノートPC+外部モニター2台をどのように接続する?
ドックは不具合が多くコスパがイマイチ。ドックの電源も必要で、ケーブル類がスッキリしない
ドックメーカーさんから抗議を受けそうな見出しですが、他のIT機器と比べると、なぜドックばかりこんなに不具合が起こるのかと思うほど不具合が多いです。ドックの選定に問題があるのかもしれませんが、PCメーカーさんの純正品でも不具合はしばしば発生します。ドライバーのアップデートや再インストールで解消する場合も多いのですが、あれこれ対応している時間を考慮すると、コスパが悪いと言わざるを得ません。
また、ドック用の電源が必要となる上、意外とケーブル類もごちゃついてスッキリしません。
よって、構成①(ドック+モニター2台)はおススメしません。
USB-C(映像出力)付き外部モニターがおススメで、デイジーチェーン接続できるとなお良し
ドックが不要のUSB-C(映像出力)付きのモニターを2台ノートPCと接続し(構成②)、ノートPCの充電を実現するのがおススメです。さらに、デイジーチェーン接続できれば(構成③)、ノートPCに接続するケーブルが1本となり、よりスッキリします。ケーブル周りのスッキリ度合いと価格で判断でしょうか。
- USB-C(映像出力)付きモニターの例:PHILIPS 243B9/11
価格.com - フィリップス 243B9/11 [23.8インチ ブラック] スペック・仕様 - USB-C(映像出力)付きモニター(デイジーチェーン接続可)の例:
ASUS ProArt PA247CV
価格.com - ASUS ProArt PA247CV [23.8インチ 黒] スペック・仕様
ちなみに、どちらも高さ調整機能付きのモニターです。オフィスのフリーアドレス席なら、様々な人が使うと思いますので、高さ調整機能付きの方が良いと思います。
USB-C(映像出力)付きモニター選定時は、モニターの供給電力とPCの消費電力に注意すべし
最近のUSB-C付きモニターの最大供給電力は65W以上のものが多く、13~14インチの一般的なノートPCなら大抵充電できます。
しかし、消費電力の高いノートPCを接続する場合は、電力不足で充電できないことがありますので、モニターの供給電力とノートPCの消費電力を確認しましょう。電力不足ままでPCをモニターを接続すると、単に充電できないならまだしも、PCの動作がカクカクになり使い物にならないといったことが起こりえます。
- 消費電力の高いノートPCの例:DELL XPS15
※消費電力130W(電源アダプタのW数で確認)
XPS 15 設定と仕様 | Dell 日本
このようなノートPCを複数の外部モニターと接続したい場合は、ノートPCの消費電力に対応したドックを導入する必要があります。
- 上記PCに対応したドックの例:
DELL Thunderbolt ドッキングステーション WD22TB4
※供給電力130W(DELLシステム)
Dell Thunderbolt™ ドッキング ステーション – WD22TB4 | Dell 日本
ちなみに、消費電力が130WのノートPCを65W給電のUSB-C付きモニター2台に接続し、ノートPCで充電できるか試してみたところ、電力不足と警告が出て充電できませんでした。
ノートPC選定時は、USB-Cポートが映像出力に対応しているか一応確認すべし
ノートPCのUSB-Cポートがごくまれに映像出力未対応の場合がありますので、一応仕様書を確認しましょう。なお、仕様書によってはUSB-CではなくThunderbolt4のような記載の場合がありますが、これも映像出力に対応しています。
- 映像出力未対応のUSB-Cポートを備えたノートPCの例:
ASUS Vivobook16
ASUS Vivobook 16 (X1605) | VivoBook | ノートパソコン | ASUS日本
高性能のノートPCなので、USB-Cポートが映像出力未対応なのは意外でした。上記Web画面自体には明記されていませんが、同Web画面の[製品仕様を見る]から入手できるPDFの仕様書の欄外に「映像出力はサポートしていません」と記載がありました。実機で動作確認したところ、確かに映像出力不可でした。
上記のようなノートPCを複数の外部モニターと接続したい場合は、映像出力機能とUSB-A⇔C互換機能付きのドックを導入する必要があります。
- 映像出力機能とUSB-A⇔C互換機能付きのドックの例:
WAVLINK USB C & USB 3.0 ドッキングステーション
https://www.amazon.co.jp/dp/B07DCLK55V/?th=1
付属のUSB-A⇔C変換ケーブルを、ドック側USB-C-PC側USB-Aで接続すると、ドックに接続している外部モニターを使用できるようになります。なお、この構成の場合、ノートPCの充電はドック経由ではなく、ノートPCにACアダプタから直接行う形になります。
おわりに
結論としては、USB-C(映像出力)付きでデイジーチェーン接続できる外部モニター2台の構成(構成③か②)をおススメします。ドック+外部モニター2台(構成①)より、電源タップやケーブル類がはるかにスッキリしますし、ドック周りの不具合も発生しません。
ただし、消費電力の多いノートPCを使用する場合、USB-C(映像出力)付きモニターの供給電力が不足するかもしれませんので、モニターの供給電力とノートPCの消費電力を確認しましょう。モニターの供給電力が不足する場合は、ノートPCの消費電力を満たすドック+外部モニター2台の構成(構成①)を検討しましょう。
また、ノートPCのUSB-CポートとモニターのUSB-Cポートが映像出力に対応していること、USB-CケーブルがUSB-C(映像出力)モニターの付属品でない場合はこれが映像出力に対応していることも一応確認しましょう。